福原ソープランド 神戸で人気の風俗店【クラブロイヤル】
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れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門、出張中様
ご利用日時:2023年6月11日
(タイトルは、「シン太郎左衛門、出張中」だが、出張したのは私であって、シン太郎左衛門は単にくっ付いてきた。シン太郎左衛門シリーズも今回で5回目。なぜか毎回長くなる。今回は頑張って、短かくしたい)
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は自称武士だが、私はそんなこと信じていない。目下、彼の最大の願いは、私とスッパリ縁を切り、れもんちゃんの部屋の置物になることらしい。こんなことを考えている馬鹿が武士である訳がない。
願いと言えば、シン太郎左衛門には、置物願望以外にも、私と縁を切って、電車で独り旅に出るという長年の夢がある。行き先なんて、どこでもいい。駅弁を広げて、車窓を流れる景色をぼんやりと眺めていたい。そんな他愛ない話だ。やっぱり武士らしくない。
さて、昨日まで松江に出張していた。
私は元々旅行が嫌いな上に、独り旅に強い憧れを持つシン太郎左衛門が、その旅行嫌いに拍車をかけてきて、本当に辛い出張だった。
準備を済ませて職場を出たのは夕方6時。大汗かいて飛び乗った新幹線から、岡山駅で「特急やくも」に乗り継いだときには、もう疲れ切っていたのに、席に座って、一息吐いた後、レジ袋から駅弁を取り出す音を聞き付けたシン太郎左衛門が難癖を付けてきた。
「その音、弁当でござるな。座敷牢にも似た暗がりに拙者を押し込めておいて、父上は独り弁当を広げ、旅気分をご満喫とは、まことにもって羨ましい」と嫌味タラタラだ。
食欲がある訳でもなく、ただ何か腹に入れておかねば、と買った弁当だったし、羨望に値する要素は何一つないのだが、それを言って聞かせば理解できるシン太郎左衛門ではない。
「拙者にも弁当をくだされ」
「お主は飲み食いとは無縁だろ」
「駅にて求める弁当は食べ物ではござらぬ。旅に彩りを添えるための飾り物でござる。無事に旅を終えた後は、感謝の気持ちを込めて河に流しまする」
「駅弁って、そんな仏様のお供えみたいなものだったのか。そうとは知らずに、これまで普通に食ってきた。そして、これからも普通に食う」
「なんとも野卑な。父上に買われた弁当が可哀想でござる。心ある旅人に賞られるために生まれて参ったのに、野人の顎にかかって果てようとは」
元々グラついていた食欲が、この一言で根こそぎにされてしまった。
「全く食べたくなくなった。弁当はお前にやろう」
「それは忝ない。父上の幕の内弁当、拙者の旅のお供として大切に致しまする」
「幕の内?違うぞ。焼肉弁当だ」
「焼肉弁当でござるか。なんと、また、これくらい見ていて楽しくない弁当もない。一面に腐した桜花の色でござる」
「そう言われると、風情を感じるなぁ」
「何を愚かな。焼肉弁当に旅情を掻き立てられるなどと、れもんちゃんに言ってはなりませぬぞ。とんだ変態だと思われまする」
シン太郎左衛門に何と言われようと、私は腐した桜花色の焼肉弁当のため、一肌脱ぐ覚悟を決めていた。
「では、この焼肉弁当、要らんのだな。ただ、言っておく。この一面の腐した桜花の色こそ、侘び寂びの世界だぞ」
シン太郎左衛門、うっと言葉に詰まった。
「焼肉弁当は、侘び寂びでござるか」
「そうだ。和の心そのものだ」
「う~む、拙者、幕の内弁当や季節の彩り弁当など、目にも鮮やかであってこそ、旅情を添えると考えてござった。しかし、それは拙者の早合点。その侘び寂び、早速賞翫致したい。拙者をここから出してくだされ」
「断る」
「かくまで焼肉弁当を勧めておきながら、何故断られるか。ここに閉じ込められておっては、侘びも寂びもござらぬ。外の景色も見たい。出してくだされ」
「断る。夜も更けてきた。外の景色もない。ただ暗闇に灯りがポツポツ見えるばかりだ」
「それが見たい。出してくだされ」
「何と言われても断る。お前を出した途端に行き先が変わってしまうからな」
「異なことを。行き先が何処になると」
「それは俺にも分からん。制止されても、お前を出し続けることに執着すれば、鉄格子の向こうになるかも知れん。とにかく一旦電車から降ろされる。せっかく指定までとったのに」
「それでも構わぬ。うん十年来の宿願、ここにて果たす。ここから出せ。この変態オヤジめ」
シン太郎左衛門は、一見手が付けられないほど怒り狂っている。しかし、れもんちゃんのことで怒らせたときは別として、それ以外の原因なら彼の怒りを静めるのは実に容易いことなのだ。
「シン太郎左衛門、お前の浅慮には呆れるぞ。この出張から帰った翌日、誰がお主を待っているか、忘れたか」
この一言に、シン太郎左衛門の怒声はピタリと止んだ。そして、脂下がった、いや鼻の下が伸び切った声で、「忘れる訳がござらぬ。れもんちゃんでござる」
まるでマタタビをもらった猫のように喉をゴロゴロ鳴らしている。
「れもんちゃんは素晴らしいな」
「素晴らしすぎるでござる」
「早く会いたいな」
「今すぐ会いたい」
「そうだ。しりとりをしよう。俺からいくぞ。『れもんちゃんの笑顔』、『お』だぞ」
「『お』?それはいかん。『お』だけは勘弁してくだされ」
「では、『れもんちゃんの髪の毛』、『け』だぞ」
「『髪の毛』?『髪の毛』だけは許してくだされ」
れもんちゃんしりとりは、いつやってもシン太郎左衛門を興奮の坩堝に叩き込む。喜びすぎて、ヒーヒー言っている。
「父上は、まこと、しりとりがお強い。そう初手から大将級を繰り出されては、拙者では、とても相手になり申さぬ」
「参ったか」
「参りました」
「では訊く。れもんちゃんと独り旅、どちらが大事なのだ」
「言うまでもないこと。帰還の翌日、れもんちゃんに会えることを思えば、初めからケチのついたこの旅も楽しいものに思えて参った」
「そうだろう」
「だが父上」と、やり込められたはずのシン太郎左衛門が急に凛々しい表情になり、「れもんちゃんは侘び寂びではござらぬ。雅びでござろう」
「うむ。いかにもその通りだ。我々親子、確かに侘び寂び派ではないな。次から駅弁は、幕の内弁当か季節の彩り弁当にしよう」
「それがようござる。れもんちゃんは、彩りばかりでなく、味わいも格別でござる」
「それは言うな。品格が問われる」
「口が滑り申した」
「向後、気を付けぃ」
「畏まってござる」
「シン太郎左衛門、聴け、レールの上を走る車輪の音を。この電車は今、松江に向かっているのではない。3日後の、れもんちゃんに向かって走るのだ」
「おお、左様でござれば、何があっても行き先を変える訳にはゆきませぬ」
「そういうことだ。肝に銘じておけ」
「確かに承ってござる」
それからシン太郎左衛門は静かになった。車輪の音を聴いているのだろう。それは今、シン太郎左衛門の耳に、「ガタンゴトン、ガタンゴトン」ではなく、「れもん、れもん。れもん、れもん」と響いている。
今回も、れもんちゃんの取り成しにより、親子の絆は保たれた。
一件落着。めでたし、めでたし。
そうこうしているうちに、今回もやはり長くなってしまった。済まぬことでござる。
シン太郎左衛門、出張中様ありがとうございました。
けい【VIP】(23)
投稿者:いしだ様
ご利用日時:2023年6月11日
初めての利用。ネットの写真で彼女に決めました。 とても話しやすくあっという間に時間が来てしまいました。
プレイは、客に気持ち良くなってもらいたいとの一心で、テクニックを駆使して楽しませてくれました。
プロとしてのプライドの高さを感じました。 とても良かったです。
お疲れ様でした。 またリピートしたいです。
いしだ様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と海外ドラマ様
ご利用日時:2023年6月4日
今回で4回目の登場の、我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は相変わらず自分は武士だと言い張っている。
前回れもんちゃんに会って帰宅した後、自室でのんびりしていると、シン太郎左衛門が「先刻、れもんちゃんに、多用に付き、御指南たまわった何やらが遅滞しておるとの由、お伝えでござったが、あれは何のことにござるか」
「れもんちゃんに教えてもらった海外ドラマが観れずにいる、ということだ」
「『海外ドラマ』とな。それはいかなるものでござるか」
面倒臭いとは思ったが、絡まれると、もっと面倒臭くなるので、説明してやった。
「なるほど。詮ずるに、海外ドラマとは、南蛮渡来の絵芝居の類いでござるな。何にせよ、れもんちゃんの仰せ付け、果たさではなりますまい。ささ、父上、その何とかいうもの、御覧になられよ。拙者も見たい。早速見せてくだされ」
「今すぐ?」
「この期に及んで、更なる遅滞、罷りならん。れもんちゃんの有難いお言葉、蔑ろにするなら、この場で斬る」と一喝され、更にそこから一通り説教された。私は、世の人々、特にれもんちゃんの情けに縋って生かされている天下無双の穀潰しであるとまで言われた。海外ドラマを観ずに過ごしたことで、ここまでの辱しめを受けようとは思ってもいなかった。
「れもんちゃんの命に背く者には死あるのみでござる」
れもんちゃんの海外ドラマへの思い入れが生き死に関わるほど強いものとは思わなかったが、目の前の相手が無類の馬鹿だから、折れるしかなかった。
机に向かい、パソコンが起動するのを待っていると、シン太郎左衛門が「父上、これでは何も見えませぬ。このチンチクリンで窮屈な袴と前後ろに違いのない珍妙な褌を脱いでくだされ」
ズボンとトランクスを言っているのは分かったが、下半身素っ裸というのは海外ドラマを観る格好ではない。ただ、この流れではしかたない。言われた通り服を脱いで椅子に座り直すと、「これでどうだ」
「どうもこうもござらぬ。机の引き出ししか見えませぬ」
シン太郎左衛門の視界を広げるために、椅子をズズ~っと
壁まで引いた。
「これでよかろう。それで、あれ」と、机の上のモニターを指差し、「あそこで、お前が言うところの南蛮絵芝居が繰り広げられるのだぞ」
「それは何とも奇妙。早速始めてくだされ」
「無理だな。椅子を引きすぎたから、マウスに手が届かん」
「父上は稀代の愚か者でござるな。スタートボタンを押してから、戻ってこられよ」
「『スタートボタン』だと」と追及すると、シン太郎左衛門は咳払いをして、「ところで、掛け声は、如何様に致しまするか」
「掛け声?」
「芝居に掛け声は付き物でござる」
「あの『音羽屋』とか『成駒屋』とかっていうヤツか。要らん。静かに観てたらいいの」
「そういう訳には参りませぬ。父上は、れもんちゃんが見得を切ったときに無言でやり過ごすのでござるか」
「れもんちゃんが見得を切る?」
「キメのセリフもござろう。『こいつぁ春から縁起がいいわぇ』とか『首が飛んでも動いてみせるわ』とか」
「そんなセリフを言って、れもんちゃんが見得を切るの?」
「違いまするか」
「ずいぶんと大きな誤解があるな。これから観ようとしているドラマは歌舞伎のようなものではないし、まず第一に、れもんちゃんは出て来ない」
「れもんちゃんに出番のない場面でござるな。それは見たくない。飛ばして、れもんちゃんが登場する段を観ることに致しましょう」
「いや。そうでなくて、シリーズ全編を通して、れもんちゃんは出ないの」
「な、なんと。それは誠でござるか」
「うん。犯罪に手を染めた、アメリカの高校教師の話だもん」
「それは、れもんちゃんを出さぬ理由にはなりませぬ。御法度を犯した重罪人を、白馬に乗って駆け付けたれもんちゃんが一刀両断」
「だめでしょ、いきなり主人公を斬り殺しちゃ」
「れもんちゃんに一切出番のない芝居の主人公など、どうなろうと知ったことではござらぬ」
シン太郎左衛門の表情は、いよいよ険しさを増し、
「もう一度最後にお尋ね申す。この芝居に、れもんちゃんは・・・」
「出ない」
「何故。何故、れもんちゃんは斯様なものを勧められたのでござろう。れもんちゃんは、我々親子が、れもんちゃんの出ない芝居を観れば、退屈の余り嘔吐が止まらなくなることをご存知のはず」
「待て待て。少なくとも俺は、そんなことにはならんぞ」
「信じられん、れもんちゃんが、斯様なものを拙者に観るように仰せられたとは」
「それ、間違い。れもんちゃんは、お前に観ろとは言ってない。お前が勝手に観ると言い出したんだ」
シン太郎左衛門はガックリと肩を落としたが、その落ち込み様は、しょんぼりと小さくなるタイプではなく、腹部にめり込んで背中に突き出てきそうな激しさを内包していた。どうにかしてやらないと、こちらにもトバッチリが来そうな気がした。
「そうだ。いいものがあるぞ」
パソコンを操作して、「ほれ、シン太郎左衛門、これでどうだ。これなら文句あるまい」
モニターを見上げるなり、虚ろだったシン太郎左衛門は破顔して、一筋の感涙が両の頬を伝った。
「れもんちゃん。れもんちゃんでござる。これも南蛮渡来の絵芝居にござるか」
「れもんちゃんの写メ日記の動画だ」と普通に答えようとした瞬間、あれこれ説明を求められる危険を察知し、「もちろん、これも海外ドラマである」と嘘を言っていた。
「芝居というのに、れもんちゃん、止まってござる」
「ちょっと待て。今、れもんちゃんが動き出すぞ」
再生ボタンを押して、後方に跳び退くと、ドレス姿のれもんちゃんが口元に指を寄せる瞬間だった。
シン太郎左衛門は、「おおっ!よっ、れもん屋!」
「なんだ、それ」
「掛け声でござる」
「おかしい、おかしい。『れもん屋』は止めておけ」
「では、『果物屋』でござるか」
「もっとおかしい。見ろ。怒りの余り、れもんちゃんが凍り付いてるぞ」
当然、短い動画が再生し終わっただけのことだが、シン太郎左衛門は「れもんちゃん、許してくだされ」と狼狽えている。
「父上、どのような掛け声なら、れもんちゃんの怒りに触れませぬか」
「普通に『れもんちゃん』と言えばよい」
「畏まってござる」
「反省したか」
「反省致しました」
「では、今一度いくぞ」
「お頼み申す」
動画が始まると、シン太郎左衛門は目を細め、「れもんちゃん本人には及ばぬが、よくできたカラクリでござ・・・あれ、また止まった。拙者、何もしておりませぬぞ」
写メ日記の動画は一本一本が短いので、そこからが大変だった。間を持たすため、再生速度を半分にしたら、「れもんちゃん、疲労困憊して、今にも倒れそうでござるのに、我が身を削って笑顔を見せてござる。痛わしくて、胸が張り裂けそうじゃ」とシャツの裾で涙を拭かれ、声付き動画で歓喜させれば、親父の忠告を無視して「よっ、果物屋!」の声が飛んだ。「もういいだろう?」の問い掛けは、「ささ、続けてくだされ」の一言で撥ね除けられた。
動画選択、再生ボタンのクリック、壁まで跳び退く、この一連の動作が1時間を超えると、手首、膝から始まった痛みが全身に及んでいた。
「もう疲れた。少し休ませろ」
「そう無闇にピョコピョコ動き回れば、疲れるのは必定。何故、リピートモードを使われぬか、不思議でござった」
「『リピートモード』って言った?」
シン太郎左衛門は、しまった、という顔をして、「さて、面妖なことを仰せられる」と妙な空気を誤魔化すように、「興が乗って参った。拙者、舞いまする」と扇子を打ち開いた。
「よし、舞ってみろ。俺は謡おう」
「いやいや。父上の謡いは聞けたものではごさらぬ。拙者が謡って、舞いまする」
舞台は古屋の六畳間
短い夢を重ねに重ね
写し出したる福原の
世にも目出度き姫御前
親子二人の大向こう
やんややんやの喝采に
夜はしんしんと深けにけり
即興の唄は、いかにも捻りが足りなかったものの、シン太郎左衛門、なかなか良い声である。
ただ、謡いはまだ許せたが、舞いには心底難儀した。二人の関係上、ヤツに舞われると、私も付き合わざるを得ず、部屋の中央、下半身裸で、疲れた身体をクルクルと独楽のように回転させる羽目になった。事情を知らぬ人の目には、シン太郎左衛門はともかく、私の方は確実にクルクルパーに見えただろう。
シン太郎左衛門は、もちろん馬鹿なのだが、かなり手の込んだ馬鹿なのである。
こんなことがあったせいで、この一週間疲れが抜けずに困っていたが、今日れもんちゃんに会って、元気をもらったから、もう大丈夫。すっかり癒された。
あくまで主人公は、れもんちゃん。
シン太郎左衛門と海外ドラマ様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門の5秒ルールと親子喧嘩 様
ご利用日時:2023年5月28日
(毎回、同じようなことを書いているが、決して勧めはしないものの、前作、前々作があることは一応断っておく)
私の馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士らしい。多分、当人の思い込みでしかないと思うし、結局はどうでもいいことだ。
シン太郎左衛門は、れもんちゃんに関係がないことに原則まったく関心がない。美しいこと、楽しいこと、正しいことは、シン太郎左衛門の頭の中では、全てれもんちゃんに起因するか、れもんちゃんに帰着する。それ以外は、聞いたことも、言ったことも、3秒後には忘れ始め、5秒後には完全に忘れている。自分のことでも忘れる。この前、改名したことも、当人はまったく覚えていない。
今日また、れもんちゃんに会った。やっぱりれもんちゃんは凄かった。凄すぎて、言葉が付いて来れないほど凄かった。
我々親子は思い思いに、れもんちゃんの余韻に浸り、れもんちゃんの凄さを巡って殆ど噛み合わないくせに、矢鱈と熱を帯びた会話をしながら、帰りの電車に乗っていた。
突然、シン太郎左衛門が黙り込んだ。はしゃぎ過ぎて疲れたのかと思ったら、やけに深刻な口調で切り出した。
「父上、折り入ってお願いしたいことがござる」
「なんだ」
「れもんちゃんを娶りとうござる」
「はっきり言ってやろう。無理」
「何と。それはなにゆえ。れもんちゃんは、拙者には高嶺の花と仰せられるか」
「れもんちゃんは高嶺の花だが、それ以前に、お前は人ではないからな」
「拙者は武士でござる」
「いやいや。百歩譲って、武士だとしよう。でも、お前は、人間ではなく、ナニだからな」
「拙者がナニとな」
「そう」
「得心がゆきませぬ。そもそも、ナニとは何でござるか」
「声に出して言うことが憚られるから、ナニと言うのだ。ましてや、自分のことだ、言わんでも分かるだろ」
「一向に分かりかねまする。ナニとは何か、拙者だけでなく、車中の衆にも分かるように、はっきり声に出して聞かしてくだされ」
苛立ちの余り、勢いで「それなら言ってやる。お前はチン・・・」まで言って、隣の席の品の良さそうなご婦人の目線を感じて、自制が働いた。
「何と仰せられた。声を潜められた故、聞き取れませなんだ。さあさあ、はっきりと聞かせてくだされ」
よりによって、滅多に乗らない阪急電車の車中でシン太郎左衛門の言葉責めに遭おうとは。年甲斐もなくムカッ腹が立ってきた。
「言う必要もない。無理なものは無理だ」
「理不尽でござろう。父上でなければ、一刀両断に斬って棄てておりまする」
「それも無理だ。手のないお前に刀は持てん」
「何の。手の二本や三本、気合い一つで生えまする」
「止めておけ。お前に手が付いていたら、れもんちゃんが恐がって、親子共々出禁になるぞ」
その言葉に、シン太郎左衛門は押し黙った。すっかり不貞腐れている。しばらくは拗ねて、口をきかないだろう。ああ、清々した。これで、心静かに、れもんちゃんの余韻に浸れると考えた矢先、シン太郎左衛門の例の5秒ルールが発動してしまったらしい。
「いやぁ、父上。れもんちゃんの、あのサラサラ、艶々の髪の毛は、たまりませぬなぁ。仄かに甘い薫りを漂わせ、あれは、いかん。どんな荒武者でも手懐けてしまうでござろう」と、有頂天に語り始めた。脈絡度外視にも程がある。
呆れ果てて、思わず、「れもんちゃんを娶りたいんじゃ・・・」と口にしたが、「ないの?」を省略したのが誤解を生んでしまった。
「なんと。父上が、れもんちゃんを娶りたいとな。世迷いごとも大概に召されよ」とカラカラと高笑いし、「れもんちゃんと父上では見合わぬどころではござらぬ。相並べることが、れもんちゃんに失礼。いや、無意味でござる。月とゾウリムシ。ミジンコに50カラットの金剛石・・・」
月とスッポン、豚に真珠ではなく、さらにプランクトンに置き換えているところに、シン太郎左衛門の怒りの度合いが窺えた。私が、れもんちゃんの独占を目論んでいると思い込み、勝手に腹を立てているのだ。ついさっきの自分自身の発言は忘れて。いやはや開いた口が塞がらないとは、このことだ。それにしても、今日はヤケにシン太郎左衛門に絡まれる。
「太陽とアオミドロ、シーモンキーにタイユヴァンのフルコース・・・」
「もういいよ」
我が息子、シン太郎左衛門は武士かもしれないが、大馬鹿者であり、どういう訳かプランクトンの名前に詳しかった。今は、ラテン語の学名まで並べて、親父を愚弄し続けている。
もちろん、彼を黙らせるのは造作もないことで、「次回、れもんちゃんには俺一人で会いに行く。お前は留守番」と言えば、掌を返したように擦り寄ってくるだろう。ただ、そんな意地悪なことは言わなくてもよいのだ。シン太郎左衛門は、すでに、ステキなものとプランクトンをペアにして列挙している理由が分からなくなっているはずだ。
「父上」シン太郎左衛門は一瞬押し黙り、「拙者が存じおるプランクトンは以上でござる」
「ご苦労。来週も、れもんちゃんに会いに行こうな」
「楽しみでござる」
好きなものが同じだから、時に喧嘩もするが、なかなかに仲のよい親子である。
シン太郎左衛門の5秒ルールと親子喧嘩 様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:れもんちゃんの崇高な愛らしさは、過剰に言葉を奮い立たせる 様
ご利用日時:2023年5月28日
れもんちゃんに会ってきた。やっぱり凄い。凄すぎる。小さな身体で、圧倒的な存在感。素晴らしい。素晴らしすぎる。
さて、れもんちゃん、最近益々予約が取りにくくなってきた。世間の認知も進んだようだし、今年のヘブンの総選挙は、去年以上に熱くなりそうだ。全力で応援するために、今から朝夕、腕立て腹筋で体力を蓄えておこう、というようなことを考えながら、帰りの電車に乗り込むと、早速クチコミの下書きを始めた。
れもんちゃんがテーマなら、言葉はコンコンと湧き出すし、勢いに任せて文章を並べるのは楽しい。れもんちゃんの笑顔を思い浮かべれば、益々筆は走る。れもんちゃんの首から下も合わせて思い浮かべたら、筆はリニアモーターカー並みの推進力を手に入れる。問題は、そこではない。筆が走りすぎて、飛んでもない分量になった。これをクチコミらしいサイズにまで煮詰めるには、かなりの時間と根気が要る。川端康成みたいに行間に豊かなニュアンスを籠められるなら話は別だが、そんな能力はないんでね。変に削ったら、単に文章の意味が通らなくなる。こいつは、時間をかけて練り直して、次回のクチコミに回そう。
気を取り直して、別のを書き始めた。やはり、れもんちゃんがテーマだと、文章はいくらでも溢れ出すし、ダメだと分かっていながら、れもんちゃんのことを思い出して、筆にリニアの力を与えてしまったせいで、間もなく先のモノと変わらぬぐらい長大な文章に膨れ上がっていた。こんな調子で、仕掛品ばかり増やしても、しようがないが、れもんちゃんの爆発的な愛らしさの、まだ生々しい記憶は、立ち止まって考える余裕を与えてくれない。
クチコミの投稿を翌日に持ち越すことは嫌なので、行き詰まったときは、下書きなしで、投稿画面に直に打ち込み、予め決めた時刻になったらキリを付けて送ってしまうことにしている。今回は、そのパターンになった。
時間になったからお仕舞い。
れもんちゃんの崇高な愛らしさは、過剰に言葉を奮い立たせる 様ありがとうございました。
ひなた 【VIP】(21)
投稿者:名もなきおじさん様
ご利用日時:2023年5月21日
初めてお世話になりました
終始ニコニコしてくれてめちゃくちゃかわいかったし、えっちでした。けしからん
本人はなんや言うてましたけどスタイルも素晴らしかったし、おしりがね、もうおしりがほんと。推しりの子です。
いまだに帰りたくねえ。いや、帰ったけども。必ずまた行くので。
店員さんの群を抜いてるもホントだったな、グッジョブ!!次回またよろしくお願い致します。
名もなきおじさん様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:「地球をハンマーのようにブン回して別の銀河系まで飛ばすことは室伏選手にもできなかったが、れもんちゃんにはできる」説 様
ご利用日時:2023年5月21日
毎朝、「あ~、面倒クセェ~」と考えながら、満員電車に乗って、癖の強いヤツばかりを集めた変な職場に通っている。ドアを開けて、職場に足を踏み入れた途端にUターンして家に帰りたくなるが、夕方まで一貫して半笑いで過ごす。面倒臭くて死にそうになっているだけで、笑いを誘うことなど特に起こらないが、れもんちゃんの笑顔を思い浮かべれば、大体のことは笑って済ませられるし、鬱積するものが多いほど、れもんちゃんに会うのが益々楽しみになる。
先週も絶望的に下らないトラブルがタンクローリー数台分、我が職場にぶちまけられたのを、ヘラヘラ笑いながら粛々と片付けて、表面上は何もなかったように平静を装った。それもこれも、れもんちゃんの精神的支えのお蔭である。実態を知れば、ウチの社長は、失礼にも札束を積んで、れもんちゃんに酬いようとするかも知れないから、黙っている。
れもんちゃんの笑顔には、神話的なパワーが宿っている。この星が回っているのも実は彼女のお蔭である。私は去年の暮れ、夜空の星を観測していて、それに気付いた。あれだけの星たちが、れもんちゃんに感応していたから、見過ごしようもない。当然、私以外にも多くの人の知るところになったはずだ。
れもんちゃんが、ちょっと悪戯心を起こせば、我々はある朝、見知らぬ銀河系で目を覚ますことになる。無理強いする気はないけれど、これは信じていいことなのだよ。
「地球をハンマーのようにブン回して別の銀河系まで飛ばすことは室伏選手にもできなかったが、れもんちゃんにはできる」説 様ありがとうございました。
りんか【VIP】(22)
投稿者:チロー60様
ご利用日時:2023年5月18日
朝1番にお邪魔しました。何もかもすごかったです。反応が半端なく、お店で人気一番の嬢という噂も頷けます。また来ます。
チロー60様ありがとうございました。
りんか【VIP】(22)
投稿者:しょうちゃん様
ご利用日時:2023年5月14日
個人的には相性さいこーでした!
終始心身ともにずーっと気持ち良くってありがたかったです。
またよろしくお願いします!
しょうちゃん様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門の改名披露様
ご利用日時:2023年5月14日
(決して勧めるものではないが、前編に当たるものがある)
当人によれば、我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士らしい。今日も、れもんちゃんに会えて上機嫌、すっかり出来上がってしまっている。
「父上、れもんちゃんは、またしても言語道断でござったな。可愛すぎて、可愛すぎて、あやつめ、加減というものを知らなすぎる」と言って、高笑いし、「いやはや、良い気分でござる。謡おう」と、人通りの多い神戸の地下街、よく響く低い声で何やら吟じ始めた。こっちは静かに、れもんちゃんの甘美な余韻に浸りたいのに、気が散ってしょうがない。クラブロイヤルの待合室のゴミ箱に捨ててくればよかった。
ただ、シン太郎左衛門が浮かれるのも無理はない。れもんちゃんに会えば、誰でも自然に、こうなってしまうのだ。責めるべきは可愛すぎるれもんちゃん、となるのが理屈だが、れもんちゃんを咎めるなど、私には出来ないので、シン太郎左衛門の傍若無人の振る舞いを黙ってやり過ごすことにした。
と、一枚のポスターの前で、シン太郎左衛門が立ち止まった。「『シン・仮面ライダー』とな・・・かようなものが持て囃されているのでござるか」シン太郎左衛門は神妙な顔付きで、しばしポスターを睨み付けた後、「父上、拙者も只今より、名を『シン・太郎左衛門』と改め申す」と宣った。
「お好きにどうぞ」と応じたものの、「ウツケ者め、調子に乗りおって。お前のどこが『シン・』なのだ。息子といいながら、同い年。お前も還暦間近の旧太郎、お馬鹿のQ太郎左衛門ではないか」と言い掛けて、面倒臭くなったのだ。
シン太郎左衛門、改め、シン・太郎左衛門は、いよいよ増長し、「れもんちゃんのお蔭をもち、拙者、身も心も改まってござる。かてて加えて、本日、名をも改めたる上は、日を置かず、れもんちゃんを交えて、拙者の改名披露の会を催さではなりますまい」と、したり顔である。
面倒臭いヤツだ。れもんちゃんを知ってから、ずっとこんな調子だ。だが、誰でもこうなるのだ。れもんちゃんに会えば分かる、れもんちゃんは無双の乗せ上手なのだ(下ネタを書いた覚えはないが、そう読めてしまうことを否定はしない)。れもんちゃんと過ごすと、底抜けにハッピーになってしまうのだ。
そうこうするうちに、またしてもシン・太郎左衛門が詩吟を始めた。限界を遥かに超えてハッピーを搭載した武士の発する重低音に、神戸の地下街が揺れている。
いやはや、れもんちゃん、恐るべし。
シン太郎左衛門の改名披露様ありがとうございました。
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我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は自称武士だが、私はそんなこと信じていない。目下、彼の最大の願いは、私とスッパリ縁を切り、れもんちゃんの部屋の置物になることらしい。こんなことを考えている馬鹿が武士である訳がない。
願いと言えば、シン太郎左衛門には、置物願望以外にも、私と縁を切って、電車で独り旅に出るという長年の夢がある。行き先なんて、どこでもいい。駅弁を広げて、車窓を流れる景色をぼんやりと眺めていたい。そんな他愛ない話だ。やっぱり武士らしくない。
さて、昨日まで松江に出張していた。
私は元々旅行が嫌いな上に、独り旅に強い憧れを持つシン太郎左衛門が、その旅行嫌いに拍車をかけてきて、本当に辛い出張だった。
準備を済ませて職場を出たのは夕方6時。大汗かいて飛び乗った新幹線から、岡山駅で「特急やくも」に乗り継いだときには、もう疲れ切っていたのに、席に座って、一息吐いた後、レジ袋から駅弁を取り出す音を聞き付けたシン太郎左衛門が難癖を付けてきた。
「その音、弁当でござるな。座敷牢にも似た暗がりに拙者を押し込めておいて、父上は独り弁当を広げ、旅気分をご満喫とは、まことにもって羨ましい」と嫌味タラタラだ。
食欲がある訳でもなく、ただ何か腹に入れておかねば、と買った弁当だったし、羨望に値する要素は何一つないのだが、それを言って聞かせば理解できるシン太郎左衛門ではない。
「拙者にも弁当をくだされ」
「お主は飲み食いとは無縁だろ」
「駅にて求める弁当は食べ物ではござらぬ。旅に彩りを添えるための飾り物でござる。無事に旅を終えた後は、感謝の気持ちを込めて河に流しまする」
「駅弁って、そんな仏様のお供えみたいなものだったのか。そうとは知らずに、これまで普通に食ってきた。そして、これからも普通に食う」
「なんとも野卑な。父上に買われた弁当が可哀想でござる。心ある旅人に賞られるために生まれて参ったのに、野人の顎にかかって果てようとは」
元々グラついていた食欲が、この一言で根こそぎにされてしまった。
「全く食べたくなくなった。弁当はお前にやろう」
「それは忝ない。父上の幕の内弁当、拙者の旅のお供として大切に致しまする」
「幕の内?違うぞ。焼肉弁当だ」
「焼肉弁当でござるか。なんと、また、これくらい見ていて楽しくない弁当もない。一面に腐した桜花の色でござる」
「そう言われると、風情を感じるなぁ」
「何を愚かな。焼肉弁当に旅情を掻き立てられるなどと、れもんちゃんに言ってはなりませぬぞ。とんだ変態だと思われまする」
シン太郎左衛門に何と言われようと、私は腐した桜花色の焼肉弁当のため、一肌脱ぐ覚悟を決めていた。
「では、この焼肉弁当、要らんのだな。ただ、言っておく。この一面の腐した桜花の色こそ、侘び寂びの世界だぞ」
シン太郎左衛門、うっと言葉に詰まった。
「焼肉弁当は、侘び寂びでござるか」
「そうだ。和の心そのものだ」
「う~む、拙者、幕の内弁当や季節の彩り弁当など、目にも鮮やかであってこそ、旅情を添えると考えてござった。しかし、それは拙者の早合点。その侘び寂び、早速賞翫致したい。拙者をここから出してくだされ」
「断る」
「かくまで焼肉弁当を勧めておきながら、何故断られるか。ここに閉じ込められておっては、侘びも寂びもござらぬ。外の景色も見たい。出してくだされ」
「断る。夜も更けてきた。外の景色もない。ただ暗闇に灯りがポツポツ見えるばかりだ」
「それが見たい。出してくだされ」
「何と言われても断る。お前を出した途端に行き先が変わってしまうからな」
「異なことを。行き先が何処になると」
「それは俺にも分からん。制止されても、お前を出し続けることに執着すれば、鉄格子の向こうになるかも知れん。とにかく一旦電車から降ろされる。せっかく指定までとったのに」
「それでも構わぬ。うん十年来の宿願、ここにて果たす。ここから出せ。この変態オヤジめ」
シン太郎左衛門は、一見手が付けられないほど怒り狂っている。しかし、れもんちゃんのことで怒らせたときは別として、それ以外の原因なら彼の怒りを静めるのは実に容易いことなのだ。
「シン太郎左衛門、お前の浅慮には呆れるぞ。この出張から帰った翌日、誰がお主を待っているか、忘れたか」
この一言に、シン太郎左衛門の怒声はピタリと止んだ。そして、脂下がった、いや鼻の下が伸び切った声で、「忘れる訳がござらぬ。れもんちゃんでござる」
まるでマタタビをもらった猫のように喉をゴロゴロ鳴らしている。
「れもんちゃんは素晴らしいな」
「素晴らしすぎるでござる」
「早く会いたいな」
「今すぐ会いたい」
「そうだ。しりとりをしよう。俺からいくぞ。『れもんちゃんの笑顔』、『お』だぞ」
「『お』?それはいかん。『お』だけは勘弁してくだされ」
「では、『れもんちゃんの髪の毛』、『け』だぞ」
「『髪の毛』?『髪の毛』だけは許してくだされ」
れもんちゃんしりとりは、いつやってもシン太郎左衛門を興奮の坩堝に叩き込む。喜びすぎて、ヒーヒー言っている。
「父上は、まこと、しりとりがお強い。そう初手から大将級を繰り出されては、拙者では、とても相手になり申さぬ」
「参ったか」
「参りました」
「では訊く。れもんちゃんと独り旅、どちらが大事なのだ」
「言うまでもないこと。帰還の翌日、れもんちゃんに会えることを思えば、初めからケチのついたこの旅も楽しいものに思えて参った」
「そうだろう」
「だが父上」と、やり込められたはずのシン太郎左衛門が急に凛々しい表情になり、「れもんちゃんは侘び寂びではござらぬ。雅びでござろう」
「うむ。いかにもその通りだ。我々親子、確かに侘び寂び派ではないな。次から駅弁は、幕の内弁当か季節の彩り弁当にしよう」
「それがようござる。れもんちゃんは、彩りばかりでなく、味わいも格別でござる」
「それは言うな。品格が問われる」
「口が滑り申した」
「向後、気を付けぃ」
「畏まってござる」
「シン太郎左衛門、聴け、レールの上を走る車輪の音を。この電車は今、松江に向かっているのではない。3日後の、れもんちゃんに向かって走るのだ」
「おお、左様でござれば、何があっても行き先を変える訳にはゆきませぬ」
「そういうことだ。肝に銘じておけ」
「確かに承ってござる」
それからシン太郎左衛門は静かになった。車輪の音を聴いているのだろう。それは今、シン太郎左衛門の耳に、「ガタンゴトン、ガタンゴトン」ではなく、「れもん、れもん。れもん、れもん」と響いている。
今回も、れもんちゃんの取り成しにより、親子の絆は保たれた。
一件落着。めでたし、めでたし。
そうこうしているうちに、今回もやはり長くなってしまった。済まぬことでござる。