福原ソープランド 神戸で人気の風俗店【クラブロイヤル】
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れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門が行方不明 様
ご利用日時:2024年6月23日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。最近は、剣術の練習もサボっているし、「れもんちゃん音頭 2024」も諦めた様子だし、誠に天晴れな怠け者ぶりを晒している。
一昨日の金曜日、役所に行く用事があったので、年休を取り、(わーい、三連休だ)と年甲斐もなく喜んでいた。
金曜日の朝ゆっくりと起きて、朝御飯を食べていると、シン太郎左衛門が、
はあ~、広い世界にただ一輪
可憐に咲いた、れもん花
甘い香りに誘われて・・・
と「元祖れもんちゃん音頭」を歌い出した。懐かしさもあって、染々と聞き入ってしまったが、
「おい、シン太郎左衛門。お前、『れもんちゃん音頭 2024』は諦めたのか?」
「うむ。綺麗さっぱり諦めてござる。これからは、『元祖れもんちゃん音頭』一本で、地方営業に精を出す所存でござる」
「もう少し粘れよ。れもんちゃんへの想いが足りないんじゃないか?」と意見すると、シン太郎左衛門は憤然として、
「父上のような凡人に、アーティストの苦悩は分かりますまい。れもんちゃんへの想いが増すほどに、れもんちゃんの偉大さに比して我が力量の不足が痛感されるのでござる」
「ふ~ん」と気のない調子で答えたが、この日一日、シン太郎左衛門は鬱ぎ気味であった。
翌日土曜日の朝、昼前までぐっすり眠った。目覚めると、何か変だなと感じた。
「シン太郎左衛門、なんか変な感じしないか?」と訊いてみたが、答えがなかった。
「おい、シン太郎左衛門」と布団を捲ってみて、違和感の由縁を理解した。私は寝ている間に自覚なくパジャマのズボンやパンツを脱いで下半身裸になる癖があるのだが、ヘソから下に目をやって気付いた。シン太郎左衛門がいるべき場所にいなかった。
そもそも絶大な存在感のあるヤツではないから、股の間の皺に紛れ込んでいるのかと手で探ってみたが、さすがにそんな蚤のように小さい訳でもなかった。
「お~い、シン太郎左衛門。どこだ?トイレか?」と呼んでみたが、答えは返ってこない。少し嫌な予感がした。家の中を「お~い、シン太郎左衛門」と言いながら探し回ったが、気配さえしなかった。家を出たのだ。その証拠にヤツの愛刀(銘は「正宗」だったか、何だったか。何と呼ぼうと、結局は昔コンビニでもらった割り箸)も消えていた。
私は、(面倒くさいことになったなぁ)と、とりあえずリビングの椅子に腰を下ろすと、前回会ったとき、れもんちゃんから「れもんちゃんのパネルが新しくなるよ~ん」と聞かされていたので、シティ・ヘブンのれもんちゃんのページで新しいパネルを一枚一枚丁寧に確認し、「今回のパネルもいい出来だが、結局、れもんちゃん本人には勝てない」という当然の結論を口にして、誰も何とも言い返さない沈黙の中で、シン太郎左衛門が家出したことを思い出した。
(いかん、いかん、明日は、れもんちゃんに会う日だから、今日中にシン太郎左衛門を探し出さねば)と考えたが、まさか、これから警察署に出向いて、「すいません。昨日か今日か、武士の落し物が届いてませんか?」なんて訊く気にはならなかった。そもそも警察署は家からとても遠かった。
(そうだ。それほど遠くまでは行ってないだろうから、近所の電柱に「迷い武士を探してます」のチラシを貼って回ろう)と思い、書斎のパソコンを立ち上げて、ワープロソフトで、
迷い武士を探してます!!
名前:富士山シン太郎左衛門
年齢:不詳(多分、私と同じ年)
特徴:よく喋る。歌う。何より、れもん好き
と打ち込んだが、はたと手が止まった。私は、シン太郎左衛門の写真を持っていなかった。捜索願のチラシが写真なしでは様にならないと思われた。仕方ないので、描画ソフトでイラストを描いてみたが全然上手くいかなかった。
(なんだ、これ?イカにしか見えん。そうだ、色を塗ろう・・・しまった、グチャグチャにしてしまった。もう何だか分からない)
捜索願のチラシは諦めざるを得まいと思ったとき、閃いた。一時期シン太郎左衛門がT(私の知人)と連れだって京都の宮川町で御座敷遊びをしていたと言っていたことを思い出した。
早速Tに電話した。
幸いTは、すぐに電話に出た。
「よう、久し振り」と切り出したTは元々京都の人間だが、事情があって京都の言葉が上手く話せない。
「ああ」と答えた私も、子供の頃は親の仕事、就職してからは自分の仕事のせいで住まいを転々としてきたから、東京弁にも関西弁にも、また他のどの「弁」にも属さない日本語しか話せない。ともに言葉にコンプレックスを感じている者同士だった。
「早速だけど、シン太郎左衛門、そっちに行ってない?」
「シン太郎左衛門?誰、それ」
「会ったことあるはずだぞ。『Tと一緒に宮川町で御座敷遊びをした』って、シン太郎左衛門が言ってた」
「シン太郎左衛門なんてヤツ、記憶にないなぁ」
「そうなのか・・・つまり、昨日か今日か、お前のところに武士は来てないんだな?」
「武士?お前、今、『武士』って言った?」
「・・・まあ、いいや。ところで、お前、れもんちゃんを知ってるか?」
「知らん」
「そうか。れもんちゃんを知らないとは可哀想なヤツだ。いい年して、お前はまだ人生の本当の意味も楽しさも分かっていない」
そう言うと私は電話を切った。もう八方塞がりだった。窓の外では雨が降っていた。そのまま夜になった。
夕食の食器を洗いながら、
はあ~、広い世界にただ一輪
可憐に咲いた、れもん花
と「元祖れもんちゃん音頭」を歌ってみたが、自分でも気分が悪くなるほどの音痴だった。
「シン太郎左衛門、さっさと帰って来いよ」と、独り言を言っていた。
ボンヤリとしているうちに時刻は夜10時を過ぎていた。いよいよ心配になってきた。明日、シン太郎左衛門なしに、れもんちゃんに会う気まずさを想像していると、リビングの引き戸を開けて、「只今帰参つかまつってござる」と声がした。脇に割り箸を手挟んだシン太郎左衛門が立っていた。
「遅かったな。どこへ行っていた?」
「公園の裏山で、新兵衛に会って参った」
「そうか。新兵衛は元気だったか?」
「うむ。大いに語らってまいった」
クワガタ相手に、何を大いに語らってのかは到底理解の及ばぬことだった。
「新兵衛は相変わらず無口だったか?」
「いやいや。新兵衛め、随分と喋りおった。最近、一戸建ての住宅を購入し、ローン返済が大変だと、ぼやいておった」
「・・・お前、誰に会って来たんだ?」
「新兵衛でござる。クヌギの大木の枝の上で、風の音を聴きながら語らった。そのうち雨が降ってまいった。いつの間にか新兵衛はいなくなっておった。日も暮れて、闇の中、遠くの街灯の光を受けてキラキラと輝く雨粒を見ながら、れもんちゃんのことを思い出し、『やはり、れもんちゃんは素晴らしいなぁ』などと考えもって雨止みを待っているうちに、こんな時間になってござる」
「そうか。自宅を持つとは、新兵衛も立派になったもんだ」
「うむ。新兵衛、立派になってござった。身体付きも見違えるほど逞しくなり、ほんのり赤みを帯びておった。顎もグワンと湾曲して恐いほど立派になってござった」
「・・・それは、ノコギリクワガタだ。新兵衛ではない。別のクワガタだ」
そんな話をした翌日、日曜日、れもんちゃんに会った。
れもんちゃんは、当然宇宙一に宇宙一で、昨日、シン太郎左衛門が失踪したことを告げると「戻ってきてよかったね」と、宇宙一可愛い笑顔を浮かべた。
帰りの電車の中、窓の外は前日に続いて雨模様だったが、我々親子の心の中は晴れ渡っていた。
れもんちゃんの神々しい面影が、我々の心の中で燦然と輝いていた。
そして、れもんちゃんの新しい動画はとてもよい。
シン太郎左衛門が行方不明 様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と『れもんちゃん音頭 2024』3 様
ご利用日時:2024年6月16日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。最近、私は仕事が忙しくて、寝不足ぎみだ。必然的に息子もお疲れぎみの武士である。
さて、シン太郎左衛門は、引き続き「れもんちゃん音頭 2024」を製作しているが、はかばかしい進展も見られない。
「う~ん、う~ん」と唸ってばかりいる。
今日は、日曜日。れもんちゃんに会う日。シン太郎左衛門が、やはり朝から唸ってばかりいるので、
「そう唸っていてもダメだ。しょうがない。俺が手伝ってやろう」
「父上のような選りすぐりのクソ音痴に作曲などできまするか」
「出来ないものではない。隠していたが、実は割りと得意だったりする」
「それは誠でござるか」
「うん。学生の頃、プログレのバンドをやってて、作詞・作曲もしてた」
「なんと。音大で作曲を学ばれたとな。ピアノも弾けると」
「そんなことは一言も言っていない。ちゃんと聴け。ロックバンドでベースを弾いていた。それに俺の通っていたのは、音大ではなく、カイロ大学だ。主席で卒業した」
「・・・どこかで聞いたような話でござる」
「そうか?言っておくが、俺のカイロ大学は、エジプトの首都とは関係ないからね。揉んでから懐に入れると、ポカポカと温かい方のカイロだ」
「うむ・・・そんなヘンテコな大学で何を学ばれましたか」
「数学。理学部数学科の卒業だ」
「数学は『れもんちゃん音頭』に役立つのでござるか」
「全く役に立たないよ」
「・・・全然話が噛み合っておらぬ。父上、結局何が言いたいのでござるか!」
「お前がトンチンカンだから、会話が成り立たないのだ。『こんな感じの曲にしたい』っていうイメージを教えてくれたら、俺もアイデアを出してやるって言ってるの!」
「分かりにくい!」
「いいから、曲のイメージを言え!」
シン太郎左衛門は、少し神妙な表情になり、
「新しい『れもんちゃん音頭』のコンセプトは『愛と平和』でござる」
「そういうの止めよう。お前の口から『愛と平和』なんてセリフ、聞きたくもない」
「では、『愛と平和2(ツー)』で」
「意味が分からん。助けようという気持ちが一気に萎えた。やっぱり、お前は気が済むまで唸っておけ」
そのとき、「あっ」とシン太郎左衛門は目を輝かせ、「思い付いてござる。『れもんちゃん音頭』は、拙者、富士山シン太郎左衛門から、優しく可愛く美しい、宇宙一に宇宙一のれもんちゃんへの愛のメッセージでござるゆえ、歌い出しには富士の山が相応しい。そこから、先週作った『宮川町より福原町。今日もれもんの花盛り』に繋げていきまする」
「なるほどね。大して感心するほどのアイデアでもないが、それでもいいんじゃないか」
「うむ。では、こんな感じでござる」とシン太郎左衛門は歌い出した。
富士の高嶺に降る雪の~
「待て待て。それ、『お座敷小唄』だろ?」
「『お座敷小唄』とは何でござるか?」
「『富士の高嶺に降る雪も~京都先斗町に降る雪も~』って、60年前の松尾和子の歌だ。和田弘とマヒナスターズだ」
「何を言っているか、さっぱり分からぬ。黙って最後まで聴かれよ」
富士の高嶺に降る雪の
溶けて流れて渦巻いて
やがて京都の鴨川を
遥かに越えて神戸港
ほれ、宮川町より福原町
今日もれもんの花盛り
「・・・論外だ。富士山の雪解け水が、なんで鴨川を流れてるんだ?駿河湾に注いで、太平洋を渡って大阪湾から淀川を逆流したのか?さらに鴨川を流れてたと思ったら、いきなり神戸港に現れる。雪解け水が神出鬼没な、変な動きをするせいで、気が散って、れもんちゃんに集中できない」
「れもんちゃんを引き立てられておりませぬか」
「全然だ。俺が、れもんちゃんなら『ふざけるな』と怒るところだが、れもんちゃんは俺と違ってニッコリ笑ってくれるだろう」
「・・・つまり、れもんちゃん視点では、かなりいい線を行っているということでござるな」
「そんなことは言っていない。れもんちゃんは、宇宙一気立てもいいから、こんなことに目くじらを立てたりしないと言ったまでで、今の曲は論外だ」
「分かりにくい!」
「お前が馬鹿なだけだ!」
「黙れ、この変態オヤジめ!」
「・・・そこまで言うなら、今日、お前はお留守番だ」
「うっ・・・」シン太郎左衛門はしばし押し黙り、呻くような小声で「お留守番は嫌でござる」
「いや、お留守番だ!」
「お留守番だけは勘弁してくだされ」
「では、反省しろ!」
「うむ、反省いたしまする。さて、反省いたしました。では、そろそろ出掛けましょうぞ」
「よし、行こう。れもんちゃんが待っている」
「れもんちゃんは宇宙一に宇宙一でござる」
「言うまでもないことだ」
そして、れもんちゃんに会った。
親子揃って、夢のような時間を過ごした。
帰りの電車の中、シン太郎左衛門がボソッと呟いた。
「考えてみれば、『元祖れもんちゃん音頭』は、よく出来ておりましたな」
「分からん。そうかもしれん。違うかもしれん。唯一確かに言えることは、れもんちゃんは宇宙一に宇宙一だということだけだ」
「うむ。それは疑う余地がござらぬ」
それきり二人は、それぞれ黙って、れもんちゃんの余韻に浸っていった。
おそらく『れもんちゃん音頭 2024』は完成することはないだろう。しかし、それは大したことではなかった。
シン太郎左衛門と『れもんちゃん音頭 2024』3 様ありがとうございました。
けい【VIP】(23)
投稿者:I様
ご利用日時:2024年6月13日
カーテンを開けると、写真をはるかに上回る美人がいるではありませんか!まさに癒しのひとときを過ごさせていただきました。会話もテンポよく、全てが最高でした!!また、けいさんを指名させていただきます!!
I様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と『れもんちゃん音頭 2024』2 様
ご利用日時:2024年6月2日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。現在、『れもんちゃん音頭 2024』の製作に全身全霊を傾けているが、全くもって進捗が見られない。
今日は日曜日、れもんちゃんに会いに行く日。
朝起きるなり、シン太郎左衛門は、「『れもんちゃん音頭 2024 』製作委員会 委員長」のタスキをつけて、リビングのテーブルに向かった。ぶつぶつ言いながら、原稿用紙に数文字書いては、「う~む」と唸って握り潰し、床の上に投げ付けた。あっと言う間に床一面、紙の玉で一杯になった。まるで雪原を見るようだった。
「おい、紙の無駄遣いはやめろ。一行書いては丸めて捨てやがって」
「うむ。『れもんちゃん音頭』は大変に難しいものでござる」と言いながら、また原稿用紙を丸めて、床に投げ付けた。
去年、あんなに易々と作れたのが嘘のような苦戦ぶりだった。
一方、私は、本棚に収まり切らなくなった書籍や雑誌を処分すべきか悩んでいた。
廃棄候補として、床にうずたかく積まれた本の上に載った紙玉を払い除けると、一番上の一冊を手に取った。真っ先に捨てる積もりの古い雑誌だったが、表紙を捲ると、そのまま読み耽ってしまった。
「父上、何を読んでおられまするか」
「古い旅行雑誌の特集『京のおもてなし』の号だ」
シン太郎左衛門に、祇園の町を歩く舞妓さんの写真を使った表紙を見せてやった。
「祇園でござるな」
「うん。そうらしい。俺は祇園なんて行ったことがない」
「拙者も祇園には縁がござらぬ。もっぱら宮川町で遊んだものでござる」
「・・・宮川町も京都で有名な花街だな」
「うむ。馴染みの舞妓がおった。何度か御座敷遊びを致した」
「・・・俺には、そんな記憶はない」
「そうでござろう。父上と行ったわけではござらぬ」
「では誰と行ったのだ?」
「Tを連れて行ってござる。お茶屋は、彼奴の紹介でござった」
Tというのは、私の知り合いで、京都の古い商家のドラ息子だった。
「そうか。いつの間にか、Tと親しくなっていたのだな」
「うむ」
「何度も行ったのか?」
「ほんの四、五回行ったばかり。言うて、御座敷遊びは拙者の趣味ではござらぬ」
「ふ~ん・・・で、その間、俺は何をしてたのだろう?」
「知らぬ。大方、駅前の中華屋で、大好きなマーボ丼か半チャンラーメンでも食ろうておったのでござろう」
「・・・解せぬ話だ。お前とTが、そんな贅沢をしている間に、どうして俺は独り遠く離れた場所で中華を食べていたんだ?」
「理由など知らぬ。ともかく、Tも拙者も、父上を誘う気にはならなんだ」
「ひどい話だな。それって、いつ頃の話だ?」
「かれこれ5年は前でござろう・・・あっ、そうだ、思い付いてござる」と、シン太郎左衛門は目を輝かせ、
宮川町より福原町
今日も、れもんの花盛り~
と、歌声を響かせた。
「うむ、これはよい。これを一番の締めに使うと致そう」
「・・・よかったね。やっと少し出来た」
こんな調子で、1週間もかけて、「れもんちゃん音頭2024」は、一番の最後の一節しかできていない。
「一年の間に、れもんちゃんの凄さを思い知らされたゆえ、気軽に書けなくなった」というのが、シン太郎左衛門の言い分である。
そして、れもんちゃんに会いに行った。
れもんちゃんは、当然のことではあるが、宇宙一に宇宙一だった。
私には、どうしても、宇宙一に宇宙一のれもんちゃんに訊いてみたいことがあった。
「ねえ、れもんちゃん。これまでに、シン太郎左衛門が一人で会いに来たことって、ある?」
れもんちゃんは宇宙一可愛い笑顔を浮かべて、「ないよ」と答えた。
「じゃあ、シン太郎左衛門が俺以外の誰かと連れ立ってきたことは?」
「それもないよ」
「よかった。もし、今後そういうことがあったら、シン太郎左衛門を30分ぐらい冷蔵庫に閉じ込めて、懲らしめてやってね」と言うと、れもんちゃんは、「うん、分かった」と、それはそれは可愛く笑うのであった。
シン太郎左衛門と『れもんちゃん音頭 2024』2 様ありがとうございました。
りお【VIP】(23)
投稿者:JaABMB4864様
ご利用日時:2024年6月7日
ソフトに癒してもらいました ほっと一時。元気で何より。またな~
JaABMB4864様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と『れもんちゃん音頭 2024』(あるいはエロいクチコミ3) 様
ご利用日時:2024年6月2日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。現在、「シン・れもんちゃん音頭」を製作中である。
先週の日曜日、訳あって、れもんちゃんに会えなかった。
前日の土曜日、両手の捻挫がマシになったので、久しぶりに出勤し溜まった仕事を片付けると、「明日は、れもんちゃんに会える」と足取り軽く職場を後にした。帰りの電車の中で、妙に身体が熱いので、(なんか、元気が漲ってる感じだな。俺は、今燃えている)と思ったのは勘違いで、久しぶりに丸1日冷房に当たっていたのが祟ったのか、家に帰って検温したら39度の発熱中だった。
急いで布団を敷いて横になったが、強烈な悪寒に取りつかれて、泣く泣く翌日の予約をキャンセルした。
高熱でしんどい上に、れもんちゃんに不義理なことをして胸が傷むのに、シン太郎左衛門からは、「大馬鹿者」だの「れもんちゃんとの約束を反古にするヤツは死ねばよい」だの「ろくでなしの変態オヤジ」などと散々に罵られ、傷口に山盛りの塩を塗られた。
翌日曜日は、れもんちゃんに会うことができず、グッタリとして眠り続けたが、結局ただの風邪だった。月曜日の夜にはすっかり回復して、火曜日には普通に出勤したが、シン太郎左衛門は、ずっと不機嫌で、「れもんちゃんに申し訳が立たん。早々に腹を切られよ」と責め立ててきた。
れもんちゃんに申し訳ないことをした自責の念に変わりはなかったが、いい加減ウンザリしてきたので、
「では、お前の言うとおりにしてやろう」
「うむ」
「ただ、俺が腹を切ったら、お前、もう二度と、れもんちゃんに会えなくなるぞ。それでもいいのか?」
「・・・拙者まで巻き添えにされるのは迷惑でござる」
「でも、そうなってしまう。俺は別に死んでもいいが、それではお前が可哀想だ。れもんちゃんに会えないとはな、まったく可哀想なヤツだ」
「うむ。いかにも、拙者が可哀想でござる」
「だろ?だから死なないでおいてやる。感謝しろ」
「うむ。有り難き幸せにござる」
「よし。よく胆に銘じておけ。お前が、れもんちゃんに会えるのは、俺のお陰だ」
「うむ。父上には、達者で長生きをお願い致しまする。れもんちゃんは宇宙一でござる」
「当たり前だ。れもんちゃんは、宇宙一に宇宙一な上に、福原一の名妓でもある」
この言葉に、シン太郎左衛門は、「へへへへ」と、だらしなくニヤけ出し、「うむ。れもんちゃんは、それは、それは、大変なものでござる」とクネクネし始めた。
「・・・何だ、お前。突然、クネクネしだして・・・あっ、分かった。俺は『名妓』と言ったんだ。『めい・ぎ』だ。お前、濁点を聞き漏らしただろ?」
「へへへへ。濁点など不要でござる」
こんな感じで、我々親子は仲直りした。
そして、日曜日の朝、親子共々元気に目を覚まし、出発時刻までの時間を思い思いに過ごした。シン太郎左衛門は、『れもんちゃん音頭 2024』を頑張って作っていたが、行き詰まっているようで「う~ん」と唸ってから、「あっ、そうだ」
踊り踊るな~ら、ちょいと東京音頭、よいよい
と一節歌ってすぐに、「いかん、いかん。これは『東京音頭』そのものでござる」と、頭を掻いていた。この調子だと、年内に完成するとは思えなかった。
そして、れもんちゃんに会った。
間が空いてしまったせいで、れもんちゃんの素晴らしさが、より一層強烈に感じられた。
れもんちゃんは、余りにも宇宙一に宇宙一で、劇烈に福原一の名・・・であった。
シン太郎左衛門と『れもんちゃん音頭 2024』(あるいはエロいクチコミ3) 様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と「エロいクチコミ」2 様
ご利用日時:2024年5月19日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。見た目では、絶対に武士だとは分からない。人は見かけに依らぬものだが、シン太郎左衛門は人ではない。
日曜日、れもんちゃんに会いに行った。もちろん、クラブロイヤル在籍の、宇宙一の「れもんちゃん」に会いに行った、という意味である。よもや誤解はないとは思うものの、一応念を押しておく。
さて、その「れもんちゃん」たるや、相変わらずの超絶的な宇宙一ぶりで、親子ともどもポーっとなって帰りの電車に乗ったわけだが、車中、シン太郎左衛門は、れもんちゃんの思い出に浸り切って、突然クネクネし始めた。
ズボンの中でクネクネされると、落ち着かないので、
「おい、シン太郎左衛門。そのクネクネ、止めてくんないかなぁ」と言うと、シン太郎左衛門は憤然として、
「今日も、れもんちゃんは実にエロかった。れもんちゃんのことを思い出すと、身体が自ずとクネクネしてしまうのでござる」と言い返してきた。
「俺だって、れもんちゃんの並外れた素晴らしさに心底感服しているが、いい年をした大人は、いくら感動しても、そんな風にクネクネしないものだ。ましてや電車の中で無闇にクネクネしてはいかん」
「いや。鈍感極まる父上とは違い、拙者はとても感度がよいから、れもんちゃんのことを思い出すと、自然と身体が水底の海藻のようにクネクネして、『アッハンウッフン』と言ってしまいまする。拙者のせいではない。れもんちゃんがエロすぎるのが原因でござる」
「気楽なヤツだなぁ。これだから武士は困る。お前と違って、俺は普通の勤め人だからな。場所柄も弁えず、本能のままにクネクネしていたら、色々と面倒なことになる・・・だからクネクネするなって!」
「うむ」
シン太郎左衛門は不承不承クネクネを止めると、「勤め人とは実に下らぬものでござるな。一思いに辞めてしまいなされ」
「・・・辞めてどうする?」
「拙者と一緒にクネクネしましょう」
なんか怒鳴り付けたい気持ちになったが、思い止まり、私は本を開いて読み始めた。
しかし、5分と経たぬうちに、再びシン太郎左衛門が、れもんちゃんの思い出に浸って、クネクネと身を捩りながら「アッハンウッフン」と悶え出し、話がまた振り出しに戻ってしまった。
こんなヤツと一緒にいては、まともに読書などできるはずがない。本を閉じて、「お前、相当気持ち悪いぞ」と言ってや
ると、シン太郎左衛門、「あっ、大事なことを言い忘れてござった。あれほど言ったのに、父上のクチコミは、前回も、モノの見事にエロくなかった。今回こそ読んだ人が、思わず『アッハンウッフン』と喘いでしまうようなものを書いてくだされ」とぬかした。
「はいよ」と愛想よく答えたが、私には、そんなものを書く気は更々なかったし、元々そんなものを書く能力もなかった。
と、こんなことを書き掛けていた月曜日の夜、家の階段を踏み外して、利き手を捻挫してしまった。そんな訳で、今回クチコミを投稿するのが遅くなった(土曜日)。
パソコンが使えないでは仕事にもならないので、この数日は休みをとって家で大人しく過ごした。れもんちゃんの余韻を引き摺っているシン太郎左衛門は、やはりクネクネしていた。私は、右手首から湿布の匂いをプンプンさせながら、何をするのも億劫で、ただ中空を見上げてボンヤリとしていたのだが、時々れもんちゃんの愛らしい笑顔やら、ここには書けないことを思い出し、シン太郎左衛門に釣られるように身体をクネクネと動かしてしまっていた。
シン太郎左衛門は満足げに頷いて「その調子でござる」と言ったが、「アッハンウッフン」と言うには、私は自制心が強すぎた。
シン太郎左衛門と「エロいクチコミ」2 様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門と「エロいクチコミ」 様
ご利用日時:2024年5月12日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。先週までは、弟子(新兵衛:クワガタ)を抱えた緊張感があったためか、妙にちゃんとした発言が目立ったが、その重石が外れた途端、ただの馬鹿に戻ってしまった。
日曜日、宇宙一のれもんちゃんに会った。これまで何十回と会っていながら、なお110分間、驚きの連続であった。宇宙が今も想像すら出来ないスピードで拡大しているように、れもんちゃんも成長を続けている。感服するのみだ。
帰りの電車の中、シン太郎左衛門はニヤニヤしたり、ヘラヘラしたり、うっとりしたり、様々な表情を浮かべて、れもんちゃんの余韻に浸っていた。もちろん、ズボンの中に収まったシン太郎左衛門の表情が分かるわけがないのだが、当人が、
「ヘラヘラヘラ」と言うので、
「お前は、今ヘラヘラしているな」と尋ねると、
「いかにも拙者、ヘラヘラしてござる」と答える。
「アッハンウッフン」と言うので、
「お前は、今アッハンウッフンしているな」と尋ねると、
「いかにも拙者、アッハンウッフンしてござる」と答える。
「つまり、お前は今、れもんちゃんの余韻に浸っている」
「うむ。いかにも拙者は今、れもんちゃんの余韻に浸ってござる。れもんちゃんは今日も大変にステキでござった」
「当たり前だ。お前、れもんちゃんを誰だと思ってるんだ。れもんちゃんは・・・れもんちゃんだぞ。言わずと知れた宇宙一のれもんちゃんだ」
「うむ。父上、れもんちゃんはエロい」
「そんなこと、お前に言われんでも分かっている」
「父上の書くクチコミはエロくない」
「それも分かっている」
「では、今回のクチコミは、エロくしてくだされ」
「何故だ?」
「れもんちゃんの凄さが、世の中に十分伝わっておらぬ。それもこれも、エロくも何ともないクチコミを馬鹿みたいに毎週書いて、れもんちゃんの邪魔ばかりしておる父上のせいでござる」
「言い掛かりだな」
「とにかく、今回ばかりは何が何でも、れもんちゃんのエロさを余す所なく描いてくだされ」
「断る。そんな無茶なことは出来ん。俺が本気で、れもんちゃんの真の姿を書いたら、ただでは済まん」
「不掲載でござるか」
「そんなことで収まればいいが、もし掲載されたら、予約が殺到して、クラブロイヤルの電話が鳴りっぱなしになる。電話が繋がらないから、不満を持った人達が暴徒になって押し寄せる。福原で暴動が起こる。我々の予約さえ脅かされるんだぞ」
「それはいかん」
「いかんだろ?だから、今までどおりでいいのだ」
「父上は、そこまで見通して、こんな馬鹿なモノを書いておったのでござるな」
「そうだ。見直したか」
「うむ。見直してござる。ただ、今回に限り、少しでよい、お色気を加えてくだされ。もちろん、我々親子の予約が脅かされぬ程度にお願いいたす」
「よし、分かった」
そう軽々しく約束したのだが、結局今日(水曜日)に至るまで一行も書けなかった。少しは努力してみたが、れもんちゃんのエロさは、私の筆力が遠く及ばないものだった。
ただ、約束しよう。れもんちゃんは、飛んでもなくエロい。これは1=1よりも遥かに確かなのだ。しかし・・・
すべては、会ってからのお楽しみだよ~ん。
シン太郎左衛門と「エロいクチコミ」 様ありがとうございました。
りお【VIP】(23)
投稿者:Jay様
ご利用日時:2024年5月10日
快晴のお天気のなか、またリオさんに癒されてきました。5月晴れの気分じゃ。
Jay様ありがとうございました。
れもん【VIP】(23)
投稿者:シン太郎左衛門(さらば新兵衛) 様
ご利用日時:2024年5月5日
我が馬鹿息子、シン太郎左衛門は武士である。ちょんまげは、結っていない。
今日は日曜日、れもんちゃんに会う大事な日。今日も元気に、親子揃って、5時起きをした。
そして、新兵衛(クワガタ。シン太郎左衛門のお友だち)を新兵衛ハウス(プラスチックの小さな水槽)から摘まんで出して、布団の上に置くと、いつもの剣術の稽古が始まった。「やあっ!」「とおっ!」「新兵器、気合いが足らんぞ!」とシン太郎左衛門は叫んでいる。新兵衛はトコトコ歩き回り、ピタッと止まると布団の上にプリッと余計なことをした。私は急いでウェット・ティッシュで汚れを拭い取った。
いつもの光景。でも、私には気になっていることがあった。
随分、暖かくなってきた。そろそろ新兵衛を自然に返してやらなければならない。シン太郎左衛門は悲しむだろうが、このまま新兵衛を家に留めては宇宙の摂理に悖るというものだ。「宇宙の摂理を司る」れもんちゃんにも申し訳ない。
稽古が終わると、新兵衛を籠に戻し、さりげなく、「もう寒い季節は終わった」と言うと、シン太郎左衛門は大きく頷き、
「うむ。では、そろそろ新兵衛を森に返しましょう」と、驚くほど恬淡としている。
「寂しくなるな・・・」
「寂しくなどござらぬ。初めから決まっていたこと。この2ヶ月の間に、新兵衛は立派な武士になってござる」
「そうかなぁ。剣術の腕前が上がった様子はない」
「そうではござらぬ。剣術の腕など些末なことでござる。新兵衛は剣の心を身に付けた」
「剣の心ってなんだ?」
「打算にとらわれず生きることでござる」
「クワガタにとっての打算って何だよ?元々、打算にとらわれてなくないか?」
「まあよい。早速、新兵衛に腹ごしらえをさせてくだされ」
丘に向けて坂を登り、公園を過ぎた辺りから、山に向かって森が開ける。朝日を浴びて、木々の緑が鮮やかだった。斜面に雑然と生えた木々の間を縫ってしばらく進んだが、やがて雑木が生い茂り、行く手を阻んだ。これ以上奥には進めそうもないので、ぐるっと周りの樹を見渡した。
「この樹がいいかな。クヌギだと思う」
「うむ」
私は、ポロシャツの胸にバッジのようにじっとしていた新兵衛を引き離し、クヌギの樹の幹に留まらせた。
「では、新兵衛、お別れでござる。達者で暮らせよ」
新兵衛はトコトコと樹を上り始めたが、ピタッと止まった。振り向いて哀惜の辞を述べる代わりに、プリッと余計なことをすると、またトコトコと樹を上っていった。
「では、行こう」
二人はその場を後にした。たったこれだけのことだった。静かなお別れだった。
帰り道、「新兵衛は、やがて可愛い雌のクワガタと出会って、子孫を残すんだろうな」と言うと、シン太郎左衛門は、「うむ」と大きく頷いた。
「しかし、なんだな。前のクチコミの次回予告に書いたことで、実際そのとおりになったのは、タイトルだけだ。最終回にする気も起こらんし、感動的でもないし、まず第一に俺が書いてしまっている」
「それでよい。湿っぽい話など、れもんちゃんのクチコミには相応しくない。れもんちゃんは、宇宙一明るく元気な女の子でござる。『シン太郎左衛門』の作者は、未来永劫、父上一人でござる」
家に帰り、リビングのサイドラックに置かれた新兵衛ハウスを見て、少し寂しくなった。でも、それも一瞬のこと。今日は、れもんちゃんに会いに行く日だった。
そして、れもんちゃんに会った。
新兵衛が家に来たのは、3月3日、雛祭りの日だった。その日、れもんちゃんは宇宙一だった。
今日、5月5日、れもんちゃんは、やはり宇宙一だった。
そして、れもんちゃんは、これからもずっと宇宙一であり続ける。これは、宇宙誕生のときに、すでに決まっていたことである。
シン太郎左衛門(さらば新兵衛) 様ありがとうございました。
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一昨日の金曜日、役所に行く用事があったので、年休を取り、(わーい、三連休だ)と年甲斐もなく喜んでいた。
金曜日の朝ゆっくりと起きて、朝御飯を食べていると、シン太郎左衛門が、
はあ~、広い世界にただ一輪
可憐に咲いた、れもん花
甘い香りに誘われて・・・
と「元祖れもんちゃん音頭」を歌い出した。懐かしさもあって、染々と聞き入ってしまったが、
「おい、シン太郎左衛門。お前、『れもんちゃん音頭 2024』は諦めたのか?」
「うむ。綺麗さっぱり諦めてござる。これからは、『元祖れもんちゃん音頭』一本で、地方営業に精を出す所存でござる」
「もう少し粘れよ。れもんちゃんへの想いが足りないんじゃないか?」と意見すると、シン太郎左衛門は憤然として、
「父上のような凡人に、アーティストの苦悩は分かりますまい。れもんちゃんへの想いが増すほどに、れもんちゃんの偉大さに比して我が力量の不足が痛感されるのでござる」
「ふ~ん」と気のない調子で答えたが、この日一日、シン太郎左衛門は鬱ぎ気味であった。
翌日土曜日の朝、昼前までぐっすり眠った。目覚めると、何か変だなと感じた。
「シン太郎左衛門、なんか変な感じしないか?」と訊いてみたが、答えがなかった。
「おい、シン太郎左衛門」と布団を捲ってみて、違和感の由縁を理解した。私は寝ている間に自覚なくパジャマのズボンやパンツを脱いで下半身裸になる癖があるのだが、ヘソから下に目をやって気付いた。シン太郎左衛門がいるべき場所にいなかった。
そもそも絶大な存在感のあるヤツではないから、股の間の皺に紛れ込んでいるのかと手で探ってみたが、さすがにそんな蚤のように小さい訳でもなかった。
「お~い、シン太郎左衛門。どこだ?トイレか?」と呼んでみたが、答えは返ってこない。少し嫌な予感がした。家の中を「お~い、シン太郎左衛門」と言いながら探し回ったが、気配さえしなかった。家を出たのだ。その証拠にヤツの愛刀(銘は「正宗」だったか、何だったか。何と呼ぼうと、結局は昔コンビニでもらった割り箸)も消えていた。
私は、(面倒くさいことになったなぁ)と、とりあえずリビングの椅子に腰を下ろすと、前回会ったとき、れもんちゃんから「れもんちゃんのパネルが新しくなるよ~ん」と聞かされていたので、シティ・ヘブンのれもんちゃんのページで新しいパネルを一枚一枚丁寧に確認し、「今回のパネルもいい出来だが、結局、れもんちゃん本人には勝てない」という当然の結論を口にして、誰も何とも言い返さない沈黙の中で、シン太郎左衛門が家出したことを思い出した。
(いかん、いかん、明日は、れもんちゃんに会う日だから、今日中にシン太郎左衛門を探し出さねば)と考えたが、まさか、これから警察署に出向いて、「すいません。昨日か今日か、武士の落し物が届いてませんか?」なんて訊く気にはならなかった。そもそも警察署は家からとても遠かった。
(そうだ。それほど遠くまでは行ってないだろうから、近所の電柱に「迷い武士を探してます」のチラシを貼って回ろう)と思い、書斎のパソコンを立ち上げて、ワープロソフトで、
迷い武士を探してます!!
名前:富士山シン太郎左衛門
年齢:不詳(多分、私と同じ年)
特徴:よく喋る。歌う。何より、れもん好き
と打ち込んだが、はたと手が止まった。私は、シン太郎左衛門の写真を持っていなかった。捜索願のチラシが写真なしでは様にならないと思われた。仕方ないので、描画ソフトでイラストを描いてみたが全然上手くいかなかった。
(なんだ、これ?イカにしか見えん。そうだ、色を塗ろう・・・しまった、グチャグチャにしてしまった。もう何だか分からない)
捜索願のチラシは諦めざるを得まいと思ったとき、閃いた。一時期シン太郎左衛門がT(私の知人)と連れだって京都の宮川町で御座敷遊びをしていたと言っていたことを思い出した。
早速Tに電話した。
幸いTは、すぐに電話に出た。
「よう、久し振り」と切り出したTは元々京都の人間だが、事情があって京都の言葉が上手く話せない。
「ああ」と答えた私も、子供の頃は親の仕事、就職してからは自分の仕事のせいで住まいを転々としてきたから、東京弁にも関西弁にも、また他のどの「弁」にも属さない日本語しか話せない。ともに言葉にコンプレックスを感じている者同士だった。
「早速だけど、シン太郎左衛門、そっちに行ってない?」
「シン太郎左衛門?誰、それ」
「会ったことあるはずだぞ。『Tと一緒に宮川町で御座敷遊びをした』って、シン太郎左衛門が言ってた」
「シン太郎左衛門なんてヤツ、記憶にないなぁ」
「そうなのか・・・つまり、昨日か今日か、お前のところに武士は来てないんだな?」
「武士?お前、今、『武士』って言った?」
「・・・まあ、いいや。ところで、お前、れもんちゃんを知ってるか?」
「知らん」
「そうか。れもんちゃんを知らないとは可哀想なヤツだ。いい年して、お前はまだ人生の本当の意味も楽しさも分かっていない」
そう言うと私は電話を切った。もう八方塞がりだった。窓の外では雨が降っていた。そのまま夜になった。
夕食の食器を洗いながら、
はあ~、広い世界にただ一輪
可憐に咲いた、れもん花
と「元祖れもんちゃん音頭」を歌ってみたが、自分でも気分が悪くなるほどの音痴だった。
「シン太郎左衛門、さっさと帰って来いよ」と、独り言を言っていた。
ボンヤリとしているうちに時刻は夜10時を過ぎていた。いよいよ心配になってきた。明日、シン太郎左衛門なしに、れもんちゃんに会う気まずさを想像していると、リビングの引き戸を開けて、「只今帰参つかまつってござる」と声がした。脇に割り箸を手挟んだシン太郎左衛門が立っていた。
「遅かったな。どこへ行っていた?」
「公園の裏山で、新兵衛に会って参った」
「そうか。新兵衛は元気だったか?」
「うむ。大いに語らってまいった」
クワガタ相手に、何を大いに語らってのかは到底理解の及ばぬことだった。
「新兵衛は相変わらず無口だったか?」
「いやいや。新兵衛め、随分と喋りおった。最近、一戸建ての住宅を購入し、ローン返済が大変だと、ぼやいておった」
「・・・お前、誰に会って来たんだ?」
「新兵衛でござる。クヌギの大木の枝の上で、風の音を聴きながら語らった。そのうち雨が降ってまいった。いつの間にか新兵衛はいなくなっておった。日も暮れて、闇の中、遠くの街灯の光を受けてキラキラと輝く雨粒を見ながら、れもんちゃんのことを思い出し、『やはり、れもんちゃんは素晴らしいなぁ』などと考えもって雨止みを待っているうちに、こんな時間になってござる」
「そうか。自宅を持つとは、新兵衛も立派になったもんだ」
「うむ。新兵衛、立派になってござった。身体付きも見違えるほど逞しくなり、ほんのり赤みを帯びておった。顎もグワンと湾曲して恐いほど立派になってござった」
「・・・それは、ノコギリクワガタだ。新兵衛ではない。別のクワガタだ」
そんな話をした翌日、日曜日、れもんちゃんに会った。
れもんちゃんは、当然宇宙一に宇宙一で、昨日、シン太郎左衛門が失踪したことを告げると「戻ってきてよかったね」と、宇宙一可愛い笑顔を浮かべた。
帰りの電車の中、窓の外は前日に続いて雨模様だったが、我々親子の心の中は晴れ渡っていた。
れもんちゃんの神々しい面影が、我々の心の中で燦然と輝いていた。
そして、れもんちゃんの新しい動画はとてもよい。